アロマテラピーのしくみ
精油の香りが心や体を癒す理由
香りが鼻から脳へ
精油を温めたり、お湯に入れたり、体に塗ったりすることで鼻から入った精油成分や香りは、鼻の奥の粘膜にある嗅神経細胞から脳にある大脳辺縁系へ伝わります。
大脳辺縁系は感情や本能に影響する部分で、脳に伝わった精油成分や香りは、交感神経・副交感神経の機能などを調節する役割をしている視床下部と言う部位に伝えられます。
視床下部へ精油成分や香りの情報が伝わることで、体に特定の作用を及ぼす生理活性物質が分泌され、体のバランスを整えるなどの様々な影響を及ぼします。
のどや肺から全身へ
アロマバスなどで呼吸することによって取り込まれた精油の芳香成分の一部は、気管を通って肺に入ります。
淡をおさえたり咳を鎮めたりする効果をもたらすのは、芳香成分が気管支から肺へ至る途中で作用するためです。
肺に到達した芳香成分は、肺の中の肺胞という部分の粘膜から吸収され血液に入ります。
精油を吸い込んだ約5分後には、血中に精油の芳香成分が現れますが、このように精油の薬効成分が血中に取り込まれることで全身に運ばれ、いろいろな作用をもたらします。
体内に取り込まれた精油の成分は、尿や汗として最終的には対外へ排出されます。
皮膚から浸透して全身へ
アロマバスに入ったり、アロママッサージをすることで、皮膚からも精油の成分が浸透します。
皮膚は大きく分けて、表皮、真皮、皮下組織がありますが、表皮には皮脂膜や角質層で出来たバリアゾーンと呼ばれる細菌やウイルス、異物などの侵入を防ぐためのしくみがあります。
このバリアゾーンがあるために、ほとんどの物質は皮膚内部に浸透することが出来ませんが、芳香成分の分子サイズは大変小さいため、表皮のバリアを通り抜けることができます。
皮膚内部へと入り込んだ芳香分子は、皮下組織の毛細血管から血液やリンパに入って全身へと運ばれます。
また、一部は皮膚表面の皮脂腺や汗腺からも吸収されます。